がんの痛み治療をもっと広げましょう

“がん” は決して他人事ではありません。がんを患うと強い痛みが出現します。

がんは、我が国での死因トップの病気で、私たちにとってとても身近な病気です。決して他人事ではないのです。
男性では2人 に1人、女性では3人に1人ががんと診断されると報告されています。
また,男性の4人に1人,女性の6人に1人はがんで 亡くなられると報告されています。

出典:がんの統計2009 p-22, 「がんの統計」編集委員会 編 財団法人がん研究振興財団

がんの痛みは,“がん”と診断された時点で既に30%の方に出現していると報告されています。

“がん”が進行すると60%に痛みが現れ、末期では75%の方に痛みが現れるといわれています(図:がんの進行と痛み発生の関係)。そして、その痛みの約80%の方には強い痛み(中等度から耐え難い痛み)が現れるといわれています(図:がんの痛みの強さ割合)。

日本緩和医療学会「がん疼痛治療ガイドライン」作成委員会:
Evidence-Based Medicineに則った がん疼痛治療ガイドライン、真興交易,p-4-5(2000)

わが国でのがんの痛み治療の実施状況

がんの痛み治療法は既に確立していますが、残念ながら我が国では、がんの痛みを経験した患者さんのうちの64%の方々には、痛み治療が行なわれていませんでした。
痛みがあれば、痛み治療を行ってもらうように訴え続けることが大切です。

MMJ June 2008 Vol.4 No.6 p-534(ボストンコンサルティングがん患者インターネット調査:BCG)

医療用麻薬と不正麻薬の違いを知ってください

国別の“がんの痛み治療”の実施状況を比べる指標として、医療用麻薬の消費量の比較が用いられます。
がんの痛み治療には、医療用麻薬だけが使用されるわけではありませんが、それぞれの国での痛み治療実施状況をおおざっぱにみることができます。この図からもわが国のがんの痛み治療が各国に比べて遅れていることがうかがえます。

がんの統計p-99(2008)より引用
※モルヒネ・オキシコドン・フェンタニルの合計(モルヒネ消費量換算)

まとめ:がんの痛み治療の現状

がんの痛み治療は既に確立しています(WHO方式の痛み治療)。しかし、わが国では痛み治療が十分に行われていないというのが現状です。がん患者さんはもちろんのこと、がんを患う可能性のある全てのみなさんが “がん治療”だけでなく、“がんの痛み治療”の正しい情報を知ることで、医療者に適切に痛みを訴え、痛み治療が行われます。痛みは私たちの正しい判断をゆがめるばかりか、苦痛によって意欲もおとします。早めに痛みを取ることで、がんと向き合える体制を整えることができると、私たちは思うのです。